私の身内にはひとりも癌で逝った人はいない。
だから根拠もなく安心していた。
でもよくよく考えると、ずいぶん多くの友人をこの病気で見送った。
幼子を二人も残して逝った人。
何よりも山を愛した女性。
さまざまな人が先に逝った。
渓流釣りが大好きな山仲間には、
高野山の奥まで、渓流釣りに連れて行って貰ったことがある。
独身の彼は、ややこしい行程やハードな山にも誘いやすかった。
その彼が胃潰瘍で入院した。
10キロも痩せたと電話で話す様子に、
元々瘦身な彼の、どこにそんなに肉が付いていたのと驚いた。
退院後、毎日胃潰瘍の注射に通って回復しているとも言っていた。
ある晩遅く、彼から電話がかかってきた。他愛無い世間話の後
再入院したと告げられた。
私は愚かにも胃潰瘍と言う話を信じていた。元気で一緒に山に登れることを
疑いもしなかった。それから三週間も経たないうちに、胃がんで彼は逝った。
夜更けの電話の、さみしげな声が耳から離れない。
電車で3時間近く離れた場所にすんでいるので、
そんなに緊急だとは思わなかった私は、お見舞いにも行かなかった。
得がたい山仲間を失った喪失感は大きい。
あのさみしげな声を誰からも聞きたくない。
がん治療と向き合う人の情報サイト。
こんなサイトを読んでも手遅れだ。それでも誰かに伝えたい。今も誰かが誰かに
さみしげな声で電話をかけているかもしれない。
なんとか希望を持って、気強く生き抜いて欲しいと、あらゆる病の人のことを思う。
最先端医療と言う、新しい希望に取り組む医師達の、力強い声が聞こえる。
日進月歩の医療は私たちの光になってくれるだろう。